第5回こだわり生産者訪問「霜里農場」
第5回こだわり生産者訪問は11月11日に埼玉県小川町の
「霜里農場」を訪問しました。若干遅くなりましたが、訪問記録
を報告します。「霜里農場」の経営者・金子美登(よしのり)さん
は小川町の有機農業のパイオニアー。1971年から有機農業に
取り組まれ、国内外の有機農場を視察、多くの研修生を育て
小川町有機農業生産者グループ代表・町会議員で非常に
忙しい方です。農場見学も毎月第二土曜日のNPO「ふうど」
のオープンデーに限られています。今回は11月のオープンデー
に参加、「ふうど」の活動、金子さんの講演、農場見学と多彩
なメニューをこなして来ました。以下訪問記録です(ホワイト)
金子さんと小川町の有機農業
金子さんが有機農業を始めたのは1971年。農林水産省の農業者大学校を第一期生として卒業時、これからの農業のあり方を考え決意されたそうです。丁度卒業の前年に減反政策が始まり、公害問題が出始めた時。これからの農業は「安全でおいしく、栄養価のある」ものを作り、豊に自給していく事でないか。まず自分自身や家族が自給し、その延長で地域の人たちや消費者と結びついていく。町単位で豊かな自給が出来ていく事が大事だと思ったそうです。その結果金子さん一人でスタートした小川町の有機農業は現在26人(小川町全体耕地面積の3.5%)まで広がりました。メンバー間の有機的なつながりも出来、各人の得意技術を生かした自然エネルギーの活用の工夫等、幅広い活動をしています。全国にも金子さんの教え子が沢山います。
<柿渋を塗った母屋とV.D.F.トラクターを説明する金子さん:左手の白い傘)>
「農業とは、最もすてきな自然エネルギーの利用術です。太陽光と水と土からエネルギーの缶詰(農産物)を作ってしまうのですから。V.D.F.とはベジタブル・ディーゼル・フューエルの略で廃食油から作ったディーゼル油です。古くなった天ぷら油を利用し、少しでも化石燃料の使用を減らそうと云う試みです。勿論、一番大事なのは、なるべくトラクターやトラックの使用を減らす事です」(金子さんの説明)
自然エネルギーの活用とNPO「ふうど」
NPO「ふうど」の活動につき副代表の高橋さんから説明があり、その後現地で施設見学があった。
【経緯】小川町の環境基本計画、一般公募テーマの中で「ゴミの減量化と有効利用を考える」/一般家庭排出生ゴミの分別・利用が、町民有志から取り上げられH13年から実証実験が始まった。(14世帯でスタート)市で処理しているゴミの30,40%は生ゴミ、生ゴミの80%は水分。それを重油を燃やして処理している。もったいない!!
【背景】小川町では「自然エネルギー」と共に「有機農業」の盛んな町で、これらの農家では有機物(家畜糞尿や生ゴミ類)を利用したバイオガスプラント(液肥とメタンガス)の研究開発が行われ(H8:小川町自然エネルギー研究会発足)現在町内で7軒の農家が簡易バイオガスプラントを稼動・有効活用している。
【現状】H14年に上記研究会が発展的にNPO「小川町風土活用センター」となり、現在98世帯が参加、新醗酵層を建設中。(金子さんもNPO「ふうど」の理事です)
【具体的モデル(運営の問題点)】
①経済的に成立つ規模・方法の探索(生ゴミ収集コスト低減、液肥の有効利用)
②地域の経験・技術の活用(利益を地域に還元)
③町民が意欲的に分別できる仕組み
⇒ 市民通貨の発行(生ゴミクーポン)
市民(生ゴミと引き換えにクーポンを貰う)
農家(クーポンと引換えに採れたて野菜を市民に渡す)
NPO(クーポンと引換えに液肥を農家に渡す)
市(生ゴミ1Kgに付き20円をNPOへ還元=通常処理に比べて割安分)
地産・地消と循環への市民の理解がポイントだが、面白い事例と思いました。
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<試運転中の醗酵層の説明をするNPO「ふうど」桑原代表>
「霜里農場」を訪ねて
①農場見学
農場を金子さんが自ら案内しながら、有機農業の注意点と対応策を12の勘所に分け説明頂いた。
【有機農業の勘所】勘所は:土つくり/堆肥つくり/作付計画と品種選び/輪作/種まきと育苗/種の自家採種/家畜と付き合う/病害虫対策/畑の除草/貯蔵/自然エネルギーの活用/便利な農具の活用。(金子さんちの「有機家庭菜園」より)
注意しなければならない事は沢山あり、各項目毎に計画段階・実行段階・フォロー段階で配慮が必要だが、全てを通して見ると、土つくりにつながっており、それを理論的に体系だてて説明・実行されているところに、金子さんのすごさと自信を感じた。
【山の自然から教わる土つくり】山は落ち葉を小動物や微生物が分解して腐葉土を作り木々を茂らせる。自然は100年に1cmの腐葉土を造るが有機農業はこれを人間の力で10,20年に1cmに早めるもの。
【作った好い土を保つ事】自家製の完熟堆肥で好い土を作っても、栽培段階で手を抜くと土はどんどん劣化していってしまう。自然の循環の中に人間が入り込む事(作物を収穫しながら、好い土を保つ事)は大変な事なんだと認識しました。収穫しながらさらに、100年を10年に短縮するのですから手抜きは許されない。楽をして作る方法には必ず欠陥がある。
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<役目を終えて、のんびりと過ごしているアイガモ君たち>
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<農場を説明する金子さん(左から2人目、とインタビューの学生(その右)>
②金子さんの講演
【金子さんの農業観】都市・工業が花・枝・幹とすると農村・農業は根っこ
(日本は根の無い切り花)このままでは、花は枯れてしまう。
他の先進国はもっと農村を大切にしている。
【日本農業の将来】日本は一番農業に向いた国。国が自給しない国つくりを
進めて いるだけ。農村には安全で美味しい食べ物を作る義務がある。
計算上は有機農業でも自給できる。
【今が農政転換のチャンス】異常気象が続いている。人間が作った環境は、
人間が責任を持って元に戻さねばならない。来年の国会では有機農業
推進法案を通さねばならない。これからは農家・農村の時代。
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<農業への熱き思いを語る金子さん(右)、左は「ふうど」副代表高橋さん>
【感想】農薬を使えば使うほど、害虫は薬剤抵抗性を高め、いっこうに退治できない。最近の学者の間では農薬では害虫は撲滅出来ないだろと言われている。農薬を使っていた畑を無農薬に転換するとき、天敵が住み着くまでは大変だが、そこを辛抱して乗り越えることがたいせつ。このくるしみを、消費者がどうやって分かち合えるか、LCNの大きなテーマだと感じつつ雨の降る小川町を後にしました。












コメント
取材お疲れ様でした。最近、思うのですが、この連載、日本の最先端をいっている生産者の声を集められるという意味で、もしかしたら、とてもすごい連載なのかもしれません。。これからも引き続き頑張っていきましょう。重要なのは「地道の継続。」by びおとーぷ
投稿者: びおとーぷ | 2006年12月17日 23:34