びおとーぷコラム2「エンジェルという名のメンター(2005年7月号)」
*2005年6月~ダイナーズカードの会報誌『シグネチャー』で連載されたコラムを、あらためて加筆修正し不定期で掲載していきます。
私が大学卒業後初めて勤めた財閥系の企業で学んだこと、それは異なる世代の先輩方との共同作業における「絶対服従」という制度であった。生まれて初めての経験にとまどいながら、必死にその組織に馴染もうと努力はしたものの、気がついた時には10ヶ月という超短期間で一人戦線を離脱していた。あれから早15年、日本も本当に大きく変わったと思う。
「エンジェル」とは、ベンチャーキャピタルが出資をする以前の企業、もしくはその経営者に対してサポートを行なう一群の人々のことを言う。多くのベンチャー企業を輩出してきた米国において、特にエンジェルの果たした役割は大きい。インテルやマイクロソフト、グーグルといったそうそうたる企業も、(程度の差こそあれ)その創業期にはエンジェルのサポートを受けている。
ひるがえって、日本においても最近ではエンジェルと呼ばれる人々が、表舞台には出ることなく人知れず活動している。特にマザーズ、ヘラクレスといった新興市場ができてからは、その動きはますます加速している。新興市場がスタートして5年が経過し、既に上場を果たした「企業家」たちが「起業家」(もしくは「起業家予備軍」)に対して、資金的あるいは人的サポートを行なうことにより、無限連鎖的な起業家コミュニティを作りあげている。こうして米国型資本主義の中で富が富を生む好循環はとめどなく進行することになり、全体としての「経済格差」は今後もますます広がっていくことになる。
蛇足ではあるが、個人の価値観が多様化するにつれて多くのコミュニティが生まれることになり、結果として「コミュニティ格差」が生ずることになる。今までの世の中であれば、有名大学に入ることがお金持ちになるための必要条件だと考えられていたが、これからは所属するコミュニティの選択こそがその後の人生を決めることになるであろう。(ベンチャー、IT企業の雄と呼ばれる起業家が、世間一般の人々には想像もつかないコミュニティを「六本木ヒルズ」に作りだしているように。)
一方で少子高齢化が進む日本においては、別の役割を担ったエンジェルが生まれてきている。企業を定年でリタイアした人々、それも大企業においてそれなりの役職まで経験した人々が、若き起業家を支援するためのコミュニティ(NPO)をいくつか立ち上げている。そこに出入りする者たちの間に、年齢差による違和感などは生ずるはずもなく、あるのは同じ「志」をもてるかどうかという価値基準だけである。フラットな組織ではあるが、経験豊富なシニアの方々が経験の乏しい若き起業家にノウハウを伝授する中で、目に見えない師弟関係、「メンター」としての役割が生まれることになる。従来型の日本の会社組織ではまず難しいと思われるこのような人間関係こそ、ニートが80万人を超えたと言われる今の日本においては必要なのではないだろうか。持続的社会、次の世代のために何を伝え、残すかもメンターの重要な役割だと思うのだ。
かく言う私も、つい最近、年齢が約30歳も離れた人生のメンターとともに、新しいビジネスの在り方について議論すべく、若き仲間、旨い酒をともない「合宿」に行ってきたところである。15年前の戦線離脱が今では遠い昔のことのようである。
※このメンターこそ、現在、LCNのベースを支える「ホワイト」さんその人であります。LCNの生産者訪問、支援につき、多大なる尽力をいただいているのです。感謝。。。











