びおとーぷコラム8「個人投資家の行方」(2006年1月号掲載)
*2005年6月~ダイナーズカードの会報誌『シグネチャー』で連載されたコラムを、あらためて加筆修正し不定期で掲載していきます。
日経平均も1万5000円を超え、景気に薄日が射し始めた今日この頃、中でも個人投資家の動きから目をはなせません。インターネットを経由した株取引の普及によるところが大きいのには誰も異論の余地はないでしょう。ネット証券の口座開設数は2005年も増加の一途をたどり、ネット専業5社の口座数は11月には250万口座を突破したと言われています。ヘラクレス、マザーズなどの新興市場においては、売買高の約8割以上が個人投資家であり、また、最近では新しく株式投資を始める方も随分増えてきているようです。これは我々マーケット関係者にとっては大変うれしいことではありますが、その一方で従来では考えられなかった様々な事象もいくつか起きております。株式売買にかかる誤発注のニュースは記憶に新しいところだと思います。ネットを通じて情報交換を行った個人投資家の行動が、その証券会社の傷口を大きく広げることにもつながりました。
また、先日とある企業の「個人投資家向け説明会」でのこと。某企業の社長によるプレゼンテーションの後、参加者からの質疑応答の場面で、野次に近い質問(罵声)があり、それを非難する他の方からの発言も交錯して場内は騒然となりました。新聞紙上では「ファンド」などによる買収合戦が繰り広げられておりますが、そこでのプロの物言いをそのまま真似たような数々の発言。そこには人と人とのコミュニケーションとして、最低限守らなければならない「礼儀」などもありませんでした。投資する側、される側の立場があまりにも偏りすぎてはいないかと感じる今日この頃です。
個人投資家にも「デイトレーダー」「長期投資家」と様々な投資スタイルが存在しておりますが、こと新興市場に関しては「中期投資」という方法もあると私は考えております。新興市場に上場した企業については、上場後の数年で時価総額が10倍以上になった会社も結構な割合で存在しています(その逆もしかりかもしれませんが・・)。
ここで重要なのは中期投資を行おうという人は、やはり好きになれる会社、応援したい会社を選ぶ必要があるということです。そのためには個人投資家説明会などにもきっちり足を運び、経営者のモノの考え方や人となり(外見も含めて)、事業内容・戦略、財務数値などを理解した上で、「ファン株主」になるべきだと思うのです。多い会社だと年に数回、個人向け説明会を開催しておりますので、連続してウオッチし続けることで必ず「見えてくるもの」もあるはずです。前回の説明会で約束したことを実行できているか、どのくらいまで実現できているのか、はたまた一切説明がなくなってしまったとか、企業(法人)の誠実さも図れることでしょう。毎日の株取引はできない、長期投資だとちょっと長すぎて投資している実感に欠けるといった会社員、OLの方には特にお勧めの投資スタイルだと思います。
私自身も近すぎて見えなくなっている「株式投資」の意味を最近良く考えることがあります。「投資とは単にお金を儲けるためのもの。」もし、これだけのことであるならば、資本主義の世の中は少々寂しいかもしれません。起業家の夢に、さらにはその企業が果たそうとする社会的役割に多少なりとも参加していくこと。そんな「ワクワク感」を株式投資を通じて広げていければ嬉しく思うのです。
【編集後記】
最近では、日経平均はだいぶ戻ってきておりますが、その一方で「新興市場」に目を向けると、粉飾決算、不祥事などが相次いでおり、完全に氷河期状態となっております。
でも、こんな時が本当は一番のチャンスなのです。しっかりした会社、起業家は、こんな時代にあっても着実に力を溜め込んできております。特にこれからは社会起業家、環境、社会貢献、SRI、CSRなど、本物の企業だけが生き残っていける時代だと思いますので、選ぶ側も地に足をつけてしっかりと付き合っていくスタンスが必要だと思うのです。
「ロハス資本主義」、ちょっと肩の力を抜いたくらいの資本主義がちょうど良いと思うのですが・・。











