びおとーぷコラム10「少子高齢化対策のウソ」(2006年3月号掲載)
*2005年6月~ダイナーズカードの会報誌『シグネチャー』で連載されたコラムを、あらためて加筆修正し不定期で掲載していきます。
少子高齢化対策の『うそ』
日本では今、言うまでもなく、来たるべく少子高齢化が問題となってきています。様々な識者たちが「あーでもない、こーでもない」と持論を展開している間に、政府からの抜本的な対策は示されず、確実に少子高齢化は進んでいっているのです。都会に住む人々は、眼に見えないその問題に対して、まるで人ごとのように考えている節もありますが、地域経済においては誠に切実な問題になってきているのです。さて、この問題に対しては、自分なりに常日頃から、問題意識を持って接しているわけなので、今回はその話をさせていただきたいと思います。日本を含めた先進国の置かれた状況、問題の本質をまず見極めた上で、まるっきり第三者的な立場から、世の中で論じられている数々の「対策」の妥当性を考えていきたいと思うのです。
日本の人口減少は予想よりも早く今年から始まったとのこと。江戸末期以降、日本の人口はほぼ150年にわたって増え続けてきたわけで、第一次大戦後の5千万人から私の誕生年、高度成長の真っ只中の1967年には1億人を突破いたしました。しかし100年後には4千万人、200年後には800万人になってしまうという試算もあります。
このような状況下、地域の状況は大変悲惨なものになってきています。昨年の国税調査では全国47都道府県のうち、人口が増えたのが15、減ったのは32道県でありました。これら減少地域では、今後ますます駅前の商店街がさびれてきたり、また税収が減ることで公共サービスが保てなくなり、それにより山間部の人口が都心部に移動するしかなく、またさらに過疎地域が過疎になるという悪循環が生じることになるわけです。その結果、里山は荒れ放題になり、古き良き日本式住居は取り壊されていくのです。
識者たちは人口が維持できる水準を保つためには、「出生率」をいくつ以上に上げなければならないなどの議論を展開しているわけですが、それには具体的にどのような方法があるのでしょうか。大きく3つに分けて考えることができると思います。1つ目に出産時の補助金助成や出産無料化、2つ目に児童手当の拡充などの育児支援策、3つ目は働く女性のための支援策など。この問題はある程度、ターゲットをセグメント分類して考える必要があります。「お金が必要な層」と「時間が必要な層」がそれぞれ存在するわけですが、これはどちらも重要な問題であると思われるので、至急具体的施策を実施する必要があります。しかしその一方で、これら対策が十分に発達した北欧の国々において、出生率が十分に回復してこないのはなぜでしょうか?ここからは私の仮説なのですが、「第3の考慮すべきセグメント」が存在すると考えるのです。それは『若者のライフスタイル』です。
よく田舎や山の中で昔ながらの生活を営む家族の生活がTVなどで放映されますが、大抵、彼らは「子だくさん」であったりします。彼らはお金がたくさんあると言うわけでもなく、自分たちの出来る範囲の質素な生活をしていることが多いようです。それに対して都会の若者たちは分不相応な生活を好む一方で、その消費生活のために毎日残業も厭わず、ハードに働く。食事もろくにとらずに働き、夜は帰って寝るだけ、週末も疲れ果てて、とてもデートどころではないという人々が増えてきています。私自身も彼らに対して、「本当にそんな生活で楽しいのか?」と幾度か質問をしてきたのですが、「楽しいわけではないが、この生活をやめることはできない。」と大抵同じような訳の分からぬ返事が返ってきたのを思い出します。もっと言うと、このような人々は結婚適齢期をも仕事やキャリアアップに情熱を燃やすばかりに、異性との出会いのタイミングをも逸し、気づいた時には心身ともに恋愛できない体質に変わってしまっているということも珍しくないのです。
あるいは大変重大な問題だと考えるのですが、仕事の与える過度のストレスが知らず知らずの間に身体をむしばむことになり、原因不明ではありますが、子宝を望んでもなかなかできないなどという話も多く聞きました。統計は当然ありませんが、この数はかなり多いと考えています。(その逆で、ハードな仕事を辞めた途端にひょっこりできたなどという話も多く耳にしてきました。)
「若者よ、田舎へ帰れ」と今、私は言いたいわけです。政府主導の人口政策は、歴史を振り返ってみてもうまくいった試しはありません。ライフワークバランスという言葉が生まれてきておりますが、私はあえて「ライフ・ワーク・エリアバランス」と言う考え方を提唱していきたいと思います。私生活と仕事と活動地域のバランスを考えて、これからの日本人は生活していかないといけないと思うのです。私が週末に活動する「LOHAS Club Network」はまさにこの考え方がベースになっています。20代~60代の同じ価値観の仲間たちが、「食と環境と健康」を愉しむライフスタイルの提案。スピード結婚を決めたカップルなども既にいくつか出てきております・・。LOHAS的には、あくまでも自然の摂理での人口増加を願ってやまないわけです。
【編集後記】
私自身が最近、かなりハードで多忙な生活を送っているので、あまりえらそうなことは言えなくなってきました。。。が、自らの立ち位置を見失わずに、家族を一番大切に想うこと。心に少しでも余裕を持つようにし、いつかは真に豊かな生活を送れるよう、とにかく今を一生懸命生きていこうと思うのです。











